染色体異常をみつけたら Q&A −目次
13q12.3-q14.2欠失と網膜芽細胞種
質問:
発達遅滞と顔貌異常・多発奇形を持つ4ヶ月男児が、小児科医から染色体カウンセリングのために紹介されてきました。生後1ヶ月のときに染色体分析を受け、次の核型だったと紹介状に書いてありました。
46,XY,del(13)(q12.3q14.2)
この男児の染色体欠失領域(13q12.3-q14.2)は網膜芽細胞種の遺伝子RB1(13q14.2)を含んでいるので、眼科医に眼底を診てもらい右網膜に直径1 cmの腫瘍を発見して治療を開始しました。検査会社からの報告書には欠失がRB1を含むことを書いてなかったので、小児科医は網膜芽細胞種の危険性を認識していませんでした。小児科医であればRB1について当然知っているべきだとの議論もあるかもしれませんが、このように患者の生死にかかわる場合には報告書に書き添えるべきだと思うのですが、如何でしょうか。
回答:
ご指摘のとおりです。この例ではRB1の欠失がfirst hitで、網膜芽細胞にsecond hitがあれば網膜芽細胞種を発症するので、報告書にコメントすべきです。その上で、欠失領域がRB1を含むことを証明するためにRB1をプローブとする染色体FISH分析するべきでしょう。
染色体欠失(重複)に伴って優性(またはX染色体性劣性)に発現する症候群領域が40カ所以上知られています [14c 微細欠失(重複)症候群領域]。この領域を含む欠失(重複)に遭遇したら、RB1と同様にコメントに記載し、医師の注意を喚起すべきです。
関連項目
14c 微細欠失(重複)症候群領域
梶井 [2006年8月1日]